マイクロソフトでは出会えなかった天職

翻訳物のノンフィクション読む期がまだ続いている。

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

マイクロソフトで結構えらい立場で仕事していた作者が、ネパールでトレッキング中に訪ねた学校の図書館に本がないことを知り、本を送る運動を始め、Room to ReadというNPOを立ち上げていく間の出来事を書いた自伝。作者は幼いころ読み聞かせをしてもらって本が好きになり、凄く本を読んでいたそうだ。それで、本を読めない子供がいることに衝撃を受けたという。僕も、この人ほどじゃなかったけど、やっぱり親に読み聞かせをしてもらって本が好きになって、現在に至っているから、共感できる部分も多かった。文章がとてもうまくて、ぐいぐい読めてしまう。
原題の「Leaving Microsoft to Change the World」というのは、いいタイトルだなあ、と思う。アジアの識字率を上げるために、凄くがんばっている彼の活動内容を読んでいると、本当に世界が変わっていく気がする。
「レンタカーを洗車する人はいない」という例を挙げ、すべてをただ与えるのではなく、相手にも資金や労働などを負担してもらい、所有意識を高めてもらう、というスタンスは凄くいいと思う。日本のやった援助で、日本人が引き上げた後、機械が壊れてそのまま直せず放置されていたり、仕組みが崩壊してしまっていたり、といったケースがテレビで紹介されていたのも見たことがあったので、この仕組みは本当にいいと思った。
文字の読めない人、学校に行けない人たちは、その機会の不平等故に様々なチャンスを失っているわけだけど、彼らの活動をはじめとして様々な識字率向上の活動が実を結び、世界の人たちの識字率が上がって彼らの教育レベルがあがったとき、いわば「既得権益」を持った我々の環境は、どう変わっていくのだろう、と考えたりした。