軌道離脱

軌道離脱 (ハヤカワ文庫NV)

軌道離脱 (ハヤカワ文庫NV)

民間会社が地球周回軌道を商業周遊させるくらいにはなった近未来。サラリーマンのキップさんが、懸賞でその周回旅行を当てて、家族の反対を押し切り、出発。ところが、一緒に行くはずの残りの観光客(3、4人)がどんどんいろいろな理由でキャンセルして、飛行士と二人で行くことに。でも、周回軌道にのったところで、デブリが貫通して飛行士が即死。通信系もやられてリモートでも操作不能に。さて、どうなる? という話。この宇宙船はインターネットに接続されているんだけど、それももちろん遮断。ところが、送信のみの回線が一本だけつながってて...という。
舞台は若干SFだけれど、中身はヒューマンドラマ。かなりのご都合主義で、危機的状況が書かれているんだけど、はらはらどきどき感はあんまり無い。結構分厚いけど、すいすい読めてそこそこ面白いんだけど、いまひとつ感情移入ができない感じだった。
ひとつは主人公が40代のアメリカ人で、二人目の奥さんと仲がうまくいってなくて、一人目の奥さん(死別)との間の息子は自分のことを嫌ってて...みたいな感じの設定にあるかなあ。アメリカの映画や小説に出てくる主人公って、なんかこういう設定の人が多い気がするんだけど、気のせいか? みんなこの手のことで悩んでいて、共感を得やすいってことなのかな。自分的には、あまり共感できないというか、アメリカ人って大変そう、みたいな感想。最近アメリカのテレビドラマ「LOST」をみたけど、それもまあ、みんな主人公が悩みまくってて、問題抱えまくりで、大変だなあ、という感じだったところだったので、余計そう思ったのかもしれない。
映画かも予定されているそうだ。確かに映画に向いているような。この本で描かれる宇宙と地上の対比は、映像のほうがわかりやすいかもしれないし。