最近のプリンタに思うこと

最近のプリンタの広告やCMを見ていると、パソコンを使わずにデジカメから直接印刷できることが、非常に大きなメリットとしてアピールされている。これを見るたびに思うことは、ああ世の中の多くの人は本当にパソコンなんて使いたくないんだなあ、ということだ。

かつてパソコンがあれば何でもできる、そういわれてパソコンブームが来た。しかし、それから時がたって、パソコンはいろいろなことができるけど、それをするためにはそれなりにコストや手間をかけなきゃいけないってことにみんな気づいたんだよな。そしてみんなそれを面倒くさいと思った。だから、「パソコン」=「面倒」、という意識がみんなに生まれて、「パソコンが必要ない」=「便利」という図式が生まれた。本来、パソコンそのものが便利なものだったはずなのにだ。結局多くの人は、いくら多くの可能性を秘めていたって、それを活用できるまでに手間のかかるパソコンよりも、機能が限定されていて、決まり切ったことしかできないものを選ぶ。まあ、それはパソコンがそこまで便利にはなっておらず、まだまだ使いやすいものではなかったから、というのもあるんだろうけれども。

メールもそうだ。僕がメールを使い始めた頃は、ポケベル全盛時代で、まだ携帯電話なんて普及していなかった。電子メールといえば、大学の計算機センターの端末で、muleで書くものだった。その後パソコンでメールを読み書きするようになって、周りにもメールアドレスを持っている人が増えたとき、なんて便利なものだと思った。が、今やメールといえば携帯でやるものになった。町内会の名簿にもメールアドレスが載るようになって、それ自体も驚きだが、半数以上は携帯のアドレスだ。そしてもっと驚くのは、もし自分が名簿を作ったら、携帯電話のメールアドレスに(携帯)とか書いてしまいそうだが、もらった名簿には携帯電話のメールアドレスには何も書かれておらず、僕のメールアドレスには(PC)と書かれていたことだ。もはや、メールといえば携帯電話のメールを指すものになったらしい。そのおかげで、夜中にメールを出してはいけないとか、メールが来たらすぐに返事を書かなければならないとか、そういう以前ならありえなかった謎なルールを「常識」といいきる人まで出てきている。

みんなメールの便利さには気づいているんだ。だけどパソコンは使わない。メールなんてパソコンで書いた方が早いし読みやすいし、消さなくていいし、デカイファイルも送れるし、とにかく便利だ。携帯のメールはどこでも読み書きできる良さがあるかもしれないが、別にそんなにどこでもメールしなきゃいけないことって、何。

でんわすればいいじゃないか でんわなんだもの

そういいたくなりますね! ま、へりくつなのは分っているんだけど。

とにかく何が言いたいのかというと、みんな本当にパソコンなんて別にいらないんだなあ、ということです。そう思うと、コンピュータを使う業界に身を置き、家には6台のパソコンがある僕は、複雑な気持ちになるのです。