魅惑のパペット映画の世界

池袋は新文芸座のオールナイト「魅惑のパペット映画の世界」を観てきた。上映されたのは以下の4作品。

前もって前売り券を買っておいたのだが、予想通り、当日でも余裕な感じ。ただ、前売り券に整理番号がついているので、先には入れる。が、よさげな席を取ったら、がらがらなのに、間を置かずすぐ隣の席にカップルが座ってきたので(なぜ?)、チェブラーシカ上映終了後、ゆったりと観るために別の席に移動。日頃の寝不足がたたり、ムーミン上映中に何度夢の世界に引き込まれそうになるが、全体としては非常に楽しく鑑賞できた。

チェブラーシカは、タイトルはよく知っていたが、初めてみた。音楽が良い。わにのゲーナが歌う歌が非常に良い。全体に漂うもの悲しい雰囲気も良い。原稿を書いているときとかに、後ろで勝手に流しておきたいので、DVD買っちゃうかもしれない。

チェブラーシカ [DVD]

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トッポ・ジージョのボタン戦争は、市川崑が監督だ。ジージョの声は仲村メイ子だ。子ども向けアニメーションかと思ったら、銀行強盗の話になり、核ミサイルの発射ボタンの話になり、最後はもの悲しく切なくなり、良い意味でかなり予想を裏切られてびっくりした。

ムーミントーベ・ヤンソンが監督を務めている。トーベ・ヤンソンはかなりチェックが厳しくて、日本のアニメの初代ムーミンとかはかなり不満だった、なんて話を聞いたことがあったので、作者本人による映画化はどんな感じだろう、と興味があった。内容的には「たのしいムーミン一家(isbn:4061380621)」の内容をなぞって、小さなお話しが連続している(読んだのがだいぶ前だから曖昧だけど)。ムーミン達が冬眠からさめ、山でシルクハットを見つけ、ムーミンが隠れたら全然違う生き物に変わってしまったり...といった感じ。本を読んでいれば、まさしくそのイメージそのまま、といった感じで、いかにもムーミンだなあ、という印象だった。人形、というか画用紙の絵の上に、半立体のキャラクターを置いて撮影したような雰囲気。スナフキンがちょっと怖い。声はすべてを岸田今日子がやっている。

チキンランは、ウォーレスとグルミットで有名なアードマン・アニメーションズがドリームワークスと手を組んで作った作品。これだけ2000年と新しいので、これまでの作品と比べて、技術の進歩をすごく感じる。内容は、イギリスのある養鶏場から脱走しようとする雌鳥たちの話。基本的には養鶏場を捕虜収容所に見立てていて、脱走もののパロディなんかをやっている。やがて空を飛べると自称するアメリカ出身の雄鳥が紛れ込んできて...という感じ。イギリスとアメリカの違いなんかもギャグにされていた。アメリカ映画だけど、アードマン・アニメーションズはイギリスなのね。テンポもよくて、すごく楽しめる。

チキンラン [DVD]

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アマゾンのコメントを読むと「技術力は高いが、まったく面白くない」みたいな意見もあった。これを書いた人の期待とは全くベクトルが違った、ということなのだろうけど、全くなんの期待もしていなかった自分としては、かなり楽しめた。手堅くまとめた、という感じもしないでもないが、キャラも主要なメンバーはきちんと立っていると思うし、養鶏場の女主人の冷酷さもなかなか良い感じでした。これまで、人間を主人公にしてさんざんっぱらやられてきたシチュエーションを鶏でやっているところが、この映画の笑いのツボだと思う。

いやしかし新文芸座、良い映画館だなあ。また行かなければ。