ラー

ラー (SFシリーズ)

ラー (SFシリーズ)

読了.主人公がピラミッド建設の謎を知るべくクフ王の時代にタイムトラベルすると,そこではピラミッドが建設されるのではなく,既に存在するピラミッドが掘り起こされる作業が行われていた.では,ピラミッドを造ったのは誰か...というSF.ハヤカワSFシリーズ Jコレクションの一覧をチェックしていたとき,これは面白そうだ!とすごく気になり,翌日には三省堂で買ってきて,一気に読んだ.感想としては,読みやすいし,導入も面白いのだが,なんというか,結末が...わりと超科学的な話になってしまって,どうもなじめない感じだった.

ただまあ,そもそもこの本はいわゆるハードSFではなくて,タイムマシンもただ発明されて使われたことしか書かれていないし(核燃料が使われているっぽいが,それも一度帰ってまた再訪するのが大変であるという原因としてしか触れられない),主人公の名前も国籍も全く触れられない.ただ古代エジプトにやってきた21世紀の人間,というだけだったり,と基本的に詳細設定をかっちり決めて描き出したタイプの小説ではないので,それで良いんだろう.むしろ,そういうジャンルの小説にJ.P.ホーガン的なカッチリした謎解き解決的オチを期待した自分の方が悪い気がしてきた.自分は,そういうカッチリ謎が解けきる方が好みだ,というだけのことで.

この本の作者は女性だ.先日ある編集者の方が「少女マンガは輪廻転生のネタがすごく多い」といっていた.だから,「セーラームーン」も輪廻転生を取り入れているそうだ.そういった「運命的必然」みたいなものは,女性の方が受け入れやすいのかもしれない.でも,自分はそういうの,ちょっと苦手なんだよなあ.

自分はこれまでの読書経験から,基本的に女の人の書く小説は肌に合わないことがわかっていた.この「ラー」も,作者が女性とわかったときに躊躇したんだけれど,あらすじを読んだときに「でもこれは面白そう」というアンテナが働いたので読んでみた.実際,最後まで読んだわけだし,そのアンテナは間違っていなかったけど,やっぱり女性の書いた小説は肌に合わないのかもしれない,という印象は残った.単に個人的な好みの問題なんだけど.