移動都市

4部作の1作目。2007年度星雲賞受賞作品。昨年出た本で、おそらくそのときもチェックしたはずだけど、だいたい続き物は全部出てから読むことにしているので、おそらくスルーしたんだと思う。でも、スルーすべきでなかった。

移動都市 (創元SF文庫)

移動都市 (創元SF文庫)

60分戦争で今の文明が崩壊して千年、都市には車輪が付き、移動しながら食い合いをする移動都市文明時代を迎えていた。科学技術は後退し、移動都市は蒸気機関で動いていて、水素で浮かんで空を飛ぶ飛行船で商人や空賊が行き来している。戦争前の文明は滅びているが、その技術の一部は「オールドテク」として発掘され、それなりに利用されている、って世界。主人公トムは移動都市ロンドンの史学ギルドの見習いだけど、とある事件をきっかけに、冒険に巻き込まれていく。世界観はありがちだといえばありがちな気もするんだけど、都市同士が食い合う「都市淘汰主義」という考え、移動を正義とするメインストリームに対する「反移動主義」など、わくわくさせられるアイデアもあるし、そもそもすごくよくできた冒険譚で、読み出したら止められなくなる。いや、これはおもしろい。自分が、こういう冒険譚が大好きであることを思い知らされたなあ。
ナウシカラピュタ紅の豚あたりを好きなら、きっとおもしろいと思う。あとはファイナルファンタジーとかもかな。
今回この本に出会えたのは、平積みになっていたからだけど、続編が出たので、移動都市も本屋に並んでいたらしい。
掠奪都市の黄金 (創元SF文庫)
今、こちらも読んでいます。早く四作全部でないかな。