床下仙人

渋谷の啓文堂でたくさん平積みされていて、えらくプッシュされていたので、思わず購入した。

床下仙人 (祥伝社文庫)

床下仙人 (祥伝社文庫)

短編集。仕事で忙殺される男の家の床下に住み着いている床下仙人の話、九州から人事異動でやってきた謎の社員が登場するてんぷら社員など、日常+αな感じの軽いファンタジーだった。
何というか、一言で言うと、大変懐かしいにおいがした。自分のイメージとしては、高校生から大学生にかけて、近所の古本屋で三冊百円で買ってきては読んでいた日本人SF作家の短編と同じにおい、角川文庫の赤い表紙のにおいだ。筒井康隆とかね。そういう古き良きSF短編の雰囲気を持っている。
床下仙人の場合、使っている題材は比較的新しい。1999年に初めて発行されているからちょっとは古いけれども、パソコンや社内ネットワークの話も出てくる。でも、なんというか、ものすごくレトロな感じだ。
軽い話ばかりで、あっという間に読めるけど、もう少し印象に残る話があってもいいかなあ、って思った。